配車指南書1「まずは行動」
この配車指南書シリーズは働き始めた新人配車係たちへ送るメッセージです。
新人配車係は自信を無くしやすく、行き詰ってしまいがちです。
だから少しでも不安を取り除き「配車係はそんなに悪いものではないよ」ということを伝えたいと考えました。
私の20年にわたる配車人生から学んだすべてを伝えることで、少しでも前向きになってっもらいたいと思います。
そして、ともに日本の物流を支えていきましょう。
図太くなろう
「嫌われる勇気を持て」
何かの心理学の自己啓発本ですね。
でも大事なことなんですよね。
「図太くなろう」ってことなんだろうけど、実は配車マンの業務にまず必要となるのはこの「図太さ」なんです。
私が配車係として初めて席についたのは、「仕事は目で盗め」「叱られて身をもって覚えろ」というような時代でした。配車未経験の人間をナンバーディスプレイのないビジネスフォンの前に座らせ、何も教えぬまま「電話をとれ」とだけ言い、ただひたすら上司に電話を繋がせる。今なら確実にパワハラ騒ぎです。
電話だとお客さんの会社名や名前が聞き取れないことってよくありますよね?そういう時にもう一度会社名やお名前を聞き直したとき「気が狂ったように怒るお客さん」っていう猛獣が貨物トラック業界には生息しています。
取引先の新人配車マンから話を聞くと今でもまだ「あるある」らしく、猛獣はしぶとく生息してるようです。
「○○さん(上司)いるか?」と電話してきて、「どちら様でしょうか?」と私が聞き返すと「✖✖$%✖!!」と言葉にならない怒りを喰らわせる超獰猛な猛獣もいるもんだから、新人時代の私はかかってくる電話が恐ろしくて取れなくなってしまいました。
そんな時です。とある取引先のH専務さんが教えてくれました。
H専務:「大丈夫、怒られても命まで取られはせんよ。気にしんさんな(しなくていい)。電話繋いどるだけじゃ、つまらんじゃろ。用事を聞きんさい(聞いてみなさい)。聞かんと覚えんで(聞かないと仕事は覚えられないよ)。」
この「命まではとられない」という言葉は今でも私の心の支えとなっています。この言葉は命さえあれば失敗しても何度でも立ち上がれる、という勇気をくれました。
そこから私は、ただのメッセンジャーボーイから御用聞きにレベルアップを果たします。聞き取れず怒られることだけでなく、御用の内容を理解できずに怒られることも加わりましたが、しつこく分からないことをお客さんに聞くことで少しずつ配車が何かを理解できるようになるだけではなく、お客さんとの関係が構築されていきました。これが私の上司の狙いだったのだと思います。
そんなこんなでしばらくして、H専務は私が初めて配車をマッチングさせたときのお客さんになりました。私は「命まではとられない」という言葉に支えられ、配車係のスタートラインに立ちました。
上司にはギャーギャー怒られ、挙句の果てに「配車係に向いていない、半年持たない」とまで言われ、取引先には「えらい使えない兄ちゃんが入ったな」と皮肉られる毎日でしたが、確かに命まではとられませんでした。そして「図太くなろう」としなければ、大事な自尊心を奪われていたかもしれません。H専務の言葉があったから、なんと罵られようとも「俺はできる。やってやる。」と前向きでいることができました。
入口は精神論でも良い
今ごろの若い人には嫌われてしまうかもしれません。
でも、配車はこんな仕事かもしれませんが、自分を有能に変えていくことができる立派なスキルの一つであり、これを手にするためには「図太さ」は必須です。
きっとどんな仕事にも同じことが言えます。
成し遂げたいことがあり、それを現実のものとするためには、まず「図太さ」を手に入れましょう。
そして、自分には必ずできると信じて続けましょう。
今はなんでもない仕事が、あなたの人生を大きく変えるかもしれません。
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