配車指南書2「小さな勇気をふり絞れ」
この配車指南書シリーズは働き始めた新人配車係たちへ送るメッセージです。
新人配車係は自信を無くしやすく、行き詰ってしまいがちです。
だから少しでも不安を取り除き「配車係はそんなに悪いものではないよ」ということを伝えたいと考えました。
私の20年にわたる配車人生から学んだすべてを伝えることで、少しでも前向きになってっもらいたいと思います。
そして、ともに日本の物流を支えていきましょう。
勇気をふりしぼって雑談をする
今回は新人時代、「つかえない兄ちゃん」と言われていた私が「ちょっと助けてよお兄さん」と言われるようになるまでのお話です。
上司から「半年もたない」と皮肉られ、おぼつかないマッチングしかできないものだから取引先の配車担当者から「つかえない兄ちゃん」扱いされ、重要な案件は上司にしか頼めないと言われる毎日をおくっていました。
しかしそんな私でも、ある行動をきっかけに成長していきます。
ある日、年配の取引相手のKさんと電話で話していて、要件を伝え終わったあと、何の気なしにKさんのキャリアについて聞いてみました。大先輩のKさんにそんな世間話をもちかけるなんて、「つかえない兄ちゃん」だった私にしてみれば随分と思い切った行動でした。しかし、以外にもKさんは嫌がらず、私に色々なことを教えてくれました。そして、H専務と同じように私の世話を焼いてくれるようになっていきました。
取り組む姿勢が相手を動かす
Kさんとのやり取りの中で、私は水屋の配車係として珍しい経験をしました。
私がマッチングした案件で初めての「荷崩れ製品事故」を起こしてしまったときです。Kさんはこの製品事故に関わっていませんでしたが、オロオロした私がこの事故についてKさんに相談すると「その荷崩れは積込の仕方に問題がある。現場を見たことがないから指示が出せんのんよ。今度ウチがその仕事やるときに教えてやるから出てきんさい。」と言ってくれました。
ただの口約束だと思っていましたが、本当に同じ荷主の仕事のときにKさんから約束通り連絡がきました。これを上司に相談すると、上司も快諾。現場に行き、Kさん指導の下、ドライバーさんが積込完了するまで立会いました。
実際の現場を知ることで、私はこの輸送案件のプロフェッショナルになることができました。これは新人だった私に大きな自信をくれました。
行動を起こす勇気
これを境に私は一皮むけたと言われるようになりました。
自らすすんで取引先に電話をかけたり、雑談を交えながら多くの担当者と交流を深め、以前より配車に積極的になることができました。
小さな勇気をふりしぼり行動を起こす。
これを繰り返すことで「つかえない兄ちゃん」から親しみの込められた「お兄さん」に進化していったのです。
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先日、Kさんから連絡がありました。
配車係を引退されるとのこと。
元の会社を定年退職された後も、別の会社でもうすぐ八十になろうかという年齢まで配車係を続けられていました。
「死ぬときは(配車の)電話を握って死ぬ」と思ってましたが、さすがに辞められるそうです(笑)
正直、長年、取引先として付き合ってきたKさんが引退されるのは寂しいですが、この場をかりて改めてお礼を言いたいです。
「ありがとうございました。あの時、あなたが私に自信をくれなかったら、私は今この会社を興していないでしょう。本当に感謝しています。」
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